フェバンクス発のアラスカ鉄道が出発するのは１５時４５分、 それまで時間があるため、どこに行こうかと迷う。 デナリ国立公園内、マッキンリーの近くまで行くバスツアーに乗っている時間はなく、 短時間の国立公園周遊バスに乗ってもアラスカ鉄道に乗っているのとさして景色が変わるとは思えない。 という事で、結局デナリ国立公園周辺のトレイルートを歩く事にした。 トレイルルートは４コースぐらいあったのだが、 ちょうど時間的にベストな４時間程度の行程という、ヒーリー山トレイルに決定する。

森林の先、目の前に山の頂が一つ見える。 その周囲に山はなく、あそこが目指す頂上だと思うと、やたら遠くに感じるのだが、 実際、息があがるほどの難所はなく、適度なハイキング程度で登れる山だった。 但し何が怖いって、いつ熊がでてもおかしくない、 うっそうと紅葉する木々の中のトレイルルートである。 シーズンオフ間近という事もあるのか、さすがにすれ違う人もほとんどいないので、 時々木々がカサカサと音を鳴らすと、もしや熊の出現ではないだろうかと、ビクビクしてしまう。 レンジャーと共に登っている人もいるぐらいだから、それなりにリスクはあるのだろう。

頂上直下に入るとガレ場になり、視界が一気に開け、デナリ国立公園が見渡せ、 どんよりとした曇り空の中に赤〜黄色く染まる、紅葉の絨毯が広がっていた。 これが晴天だったら、光に映えてさぞかし美しいい眺めになる事だろう。曇り空なのが残念でならない。 近くにいた外国人が、多分あれがマッキンリーだろうと指さした方角を見るが、 う〜ん、どれ？といった感じでよくわからなかった。

　 登った道をそのまま下り、無事時間通りトレイルを終え、１５時４５分、 フェアバンクスに向けて、再びアラスカ鉄道に乗車する。 車窓の景色はあかわらず黄色く染まる森林オンリ−だ。

夕方、意外と閑散としたフェアバンクスの駅に到着する。 到着後、レンタカーを借りて本日の宿、チェナスプリングホテルに向けて出発するが、 この頃になるとようやく天気が回復し始め、夕焼けがきれいに空を染めていた。 この分だと、もしや今夜オーロラが見えるのでは？と淡い期待を抱く。

チェナ温泉に向かう最中にどっぷり日も暮れ、街頭もない真っ暗な１本道をひたすら走る。 途中、運転手である姉が、道の脇にエルクを見かけたそうだが、私は残念ながら見逃した。 全くこんな真っ暗な中、エルクが道路にでも飛び出してこようものなら交通事故間違いなしである。 ２２時過ぎに、ようやくチェナホットスプリングスホテルに到着。意外と遠い。 到着すると、話好きな日本人スタッフが出てきてチェックインをしてくれる。 きっと彼が日本人対応係りなのであろうが、 客が何時に来ようと、対応しなければならないのは大変である。

夜中、天候は回復の兆しを見せていたが、依然雲は出ているため、 オーロラが出現しても、きっと見る事はできないだろう。 と思いつつも、万が一出るかもしれないという確立に賭け、ワインを持ち込んで車に乗り込み、 駐車場付近の空が一面に見渡せる場所に車を移動し待機する。 しかし、一つの星も見えない。雲が空を覆っているのだ。 夜中の３時まで、ダラダラと車の中に待機していたが、結局その夜はあきらめて部屋に戻る。 レンタカーを借りたので、寒空の中待っているわけではなかったので良しとするか。